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「飯沢耕太郎と写真集を読むvol.19 植田正治」講座レポ

 

1月17日の日曜日に今年最初の「飯沢耕太郎と写真集を読む」が開催されました。

今回で19回目となる「飯沢耕太郎と写真集を読む」は2014年2月にめぐたまがオープンして以来、たまにお休みしながらも月に1度開催してきた連続講座です。

この講座では、めぐたまの写真集の持ち主である飯沢さんが“写真集の味わい”についてお話していきます。(これまでの講座の様子はこちら

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今回は、『shōji ueda』がフランスの出版社Chose Communeから発表されたのを記念して、植田正治さんを取りあげました。

『shōji ueda』の日本での販売を担当している濱中敦史さん(twelevebooks)と植田正治のお孫さんである増谷寛さん(植田正治事務所)をゲストにお迎えし、お二方のお話も伺っていきます。

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植田正治は1913年、鳥取県西伯郡境町(現・境港市)に生まれます。
植田が写真に興味を持ち始めた1920〜1930年代は、アマチュア写真家たちが「芸術写真」や「ピクトリアリズム」と呼ばれる絵画的な構図とプリント技法をこらした写真を探求した時代から、「新興写真」と呼ばれる絵画から独立した、写真としての芸術表現を追求する時代へと移り変わる瞬間でもありました。

芸術写真を追い求めていた日本に黒船のごとくやって来た「ドイツ国際移動写真展」(1931年)は時代の移り変わりを象徴する展覧会でした。

植田は展覧会は見ていませんが、父に買ってもらった『MODERN PHOTOGRAPHY』(1931年)で欧米の写真に触れ、この出会いは当時18歳だった植田が本格的に写真に取り組むきっかけになりました。

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植田正治が今でも一目置かれる存在であるのは、新興写真に影響を受けながらも芸術写真を追求し続けたところにあります。
砂丘を舞台に家族や子ども達を写した「少女四態」や「パパとママとコドモたち」は植田の代表作品です。

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鳥取の平坦な土地や低い雲が、植田独特の空間意識につながっていると、飯沢さんやお孫さんで植田正治をよく知る増谷さんが解説してくれました。

空間的なスケール感と構図の面白さは、アメリカやヨーロッパでも「Ueda-cho(植田調)」という言葉が浸透するほど。
この度、フランスの出版社で彼の写真集が刊行されたのも、海外での評価の高さを示しています。

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日本での販売を担当している濱中さんから、フランスの出版社Chose Communeが、これまでの植田正治のイメージに縛られない自由な視点で写真をセレクトしていることや、これまで発表されていなかった写真も収められていることも聞くことができました。

飯沢さんも「『こんなのあったんだ』という驚きがありました。植田正治というと日本では砂丘の印象が強いですがこの本には砂丘を舞台にした写真がほとんどない。フランスと日本の見方の違いというか、誰も知らなかった植田の一面が見られますね」とこれまでの植田正治の写真集の中でも画期的な一冊だと評価しています。

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今回は、植田正治のプロフィールと新刊『shōji ueda』について、じっくりとお話を聞くことができました。

次回は紹介しきれなかった写真集を1つ1つ見ながら、植田正治の作品を読み解いていきます。

たくさんの方にご参加いただきキャンセル待ちのお客さまもいらしたほど、人気の写真家さんなのでご予約はお早めに。

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【次回講座のごあんない】

飯沢耕太郎と写真集を読むvol.20 植田正治2

2016年3月5日(土)

10:00~11:30

料金 2500円(三年番茶付き)

学生割引 1500円(三年番茶付き)

定員 20名

場所 めぐたま

* お申し込み megutamatokyo@gmail.com

*たまにメールが届かないことがあります。3日以内に返信がない場合、お手数ですが再度メールくださいませ。

*前日、当日のキャンセルは準備の都合がありますので、キャンセル料をいただきます。キャンセルまちのお客さまもいらっしゃるので、キャンセルの場合は必ずご連絡ください。

*講座のあと飯沢さんと一緒にランチを召し上がることもできます。(休日ランチ1500円)

 

写真/文 館野帆乃花

写真集食堂めぐたま2周年記念パーティ!!

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2月22日で写真集食堂めぐたまを始めてから、2年が経ちます。
無事にこれまでお店が続いたのも皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。

これまでの感謝と、これからもよろしく!の気持ちを込めて、2周年記念パーティを行います。

今年は、写真集ビンゴを予定しています。
豪華?プレゼントもあります。
お楽しみに。

多くの方のご参加をお待ちしています!!
                 
                       おかどめぐみこ、飯沢耕太郎、ときたま

2月20日(土)
17:00〜22:00

3000円(写真集ビンゴ&お料理&ワンドリンクつき)
ドリンクは2杯目から1杯500円です。

持ち込み歓迎(持ち込み頂いたものは、参加者全員でシャアして楽しみたいと思います。自分たちだけで、パーティをする方はご遠慮ください)

当日、予約なくていらしても大丈夫ですが、準備の都合があるので、出来たらご予約ください。

写真集を語り尽くす! Vol.9 ゲスト/熊谷聖司さん

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写真集を語り尽くす! Vol.9 ゲスト/熊谷聖司さん

飯沢耕太郎が写真集を巡ってゲストと語り合う「写真集を語り尽くす!」、今回のゲストは熊谷聖司さんです。熊谷さんは1994年に写真新世紀でグランプリを受賞後、着実に自分の写真世界を深め、自費出版を含めて、たくさんの写真集を刊行してきました。今回も面白いお話を聞くことができるはず。ぜひ足をお運びください。

[熊谷聖司さん コメント]
写真の作品を作り続けてきました。
作品形態は主にプリントの展示を中心に制作してきましたが、2008年の『 あかるいほうへ 』 を機に印刷物(写真集)も作り続けています。
今年は発行した『 BRIGHT MOMENTS 』で11冊目となりました。
今回はプリントと印刷物を比較しながら、プリント作品、写真集、それぞれの利点、難点そしてこれからの事を飯沢さんと紐解いていきたいと思います。

熊谷聖司さんサイト
http://www.kumagaiseiji.com

[プロフィール]
1966年 北海道函館市生まれ 東京都在住 
1987年 日本工学院専門学校卒業 
1994年 第3回写真新世紀にて年間グランプリ受賞 
個展に「もりとでじゃねいろ」「あかるいほうへ」「spring,2011」「EACH LITTLE THING」など。写真集に「MY HOUSE」「BRIGHT MOMENTS」など多数。
WEB書店 「マルクマ本店」を運営する。

2月20日(土)
14:00〜16:00

2500円(トークとお茶とお料理一品付き)

ゲスト:熊谷聖司さん

聞き手:飯沢耕太郎さん

* お申し込み megutamatokyo@gmail.com

*たまにメールが届かないことがあります。3日以内に返信がない場合、お手数ですが再度メールくださいませ。

*前日、当日のキャンセルは準備の都合がありますので、キャンセル料をいただきます。