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「第41回身体に美味しい文化講座 …原きよの[村井弦斎 食語り]… 華やかなりし明治の素敵な料理の世界へのお誘い」レポート


「第41回身体に美味しい文化講座 …原きよの[村井弦斎 食語り]… 華やかなりし明治の素敵な料理の世界へのお誘い」レポート

2022年5月21日に開かれた「第41回身体に美味しい文化講座」は[村井弦斎 食語り]の2回目です。
第1部は、明治のベストセラー小説「食道楽」の「春の巻」から「夏の巻」のハイライトを、今回も朗読家・原きよさんが北床宗太郎さんのバイオリンの音と共に朗読します。

朗読の時間のあとは、おかどめぐみこが作る「食道楽」に紹介されたメニューの数々のご飯タイム。
お料理上手なお登和が、結婚相手の両親のために作った夕食から選んで作った。
なんと、1回の食事に36種も出てくる!


豆腐の吸い物<お吸い物>
これもお豆腐を柔らかくするため極く少しの葛を溶いて汁へ入れます。お鍋からよそう前にお椀の底へ山葵の卸したのを置いてその上から汁を注ぐと味がよくなります。


鰆の玉子ソースかけ<魚料理>
玉子ソースは先ずバターを鍋で溶かして米利堅粉をいためてそれへスープと玉子の黄身と塩と酢を交ぜて弱火でよくかき回しながら濃くなった時ひから卸して柚の絞り汁を加えるのです。柚の代わりにレモンを使えばなお結構です。それを焼いた鰆にかけて出しますがほかのお魚へかけてもようございます。


豚饅頭<豚料理>
豚のロースといって赤い肉を細かく叩いて少しの胡麻の油と塩と玉葱あるいは葱と一緒にまた叩き交ぜて置いて、これから米利堅粉をお酒で捏ねて柏餅の皮のような皮を拵えて豚を包みます。これを食べる前に良く蒸すのですが温かい処をお客に出して酢醤油をつけて薬味を添えて食べるのです。支那人はご飯の代わりにたくさん食べるそうです。


牛蒡の柔煮<野菜料理>
最初昆布を入れて牛蒡を二時間ばかり湯煮たのだが、昆布入れると妙に柔らかくなるね。・・・なるほど柔らかい、牛蒡が舌で潰れる。


鶏の緑煮<肉料理>
細かく切った肉を酒と味醂と醤油でよく煮ましてそれから湯煮青豆を入れてまた煮て溶き葛でドロドロにします。


林檎のフライ<果物料理>
玉子と米利堅粉と塩と砂糖で衣を拵えてう薄く切った林檎をくるんで油で揚げる・・・・これはちょいと食べると林檎と思えないでどんなに美味うございましょう。

米のプデン<米料理>
まず一杯の米を五杯の牛乳へ二時間ほど漬けておき、それへ砂糖一杯を加えて火にかけ粥のように柔らかく炊き、もし堅すぎると思わば途中にて牛乳を加えてもよし、出来上がりしものへナツメッグを少し加えてプデン型かブリキ鉢へ入れて別にテンパンへ少しお湯を注いでその中へ今の鉢をいれたまま二十五分の間蒸焼きにして、一旦テンピより出し、上面へジャムをぬり玉子の白身へ砂糖を交ぜて泡立てたものに上飾りをなしてまたテンピへ入れて五分間ほど焼くなり。これは玉子を用いざれども味は帰って良し。

36種に入っていないが、小説の中で用意したものからの、いくつか制作。
めぐたま風にアレンジしたものもあり。

ご飯 椎茸飯
椎茸に味を漬けてザっと煮ておいてその汁と一緒にご飯へ炊き込むのですが、略式にすれば椎茸をよく煮てご飯をお釜から移す時よく掻き交ぜてもできます。

漬物 手製めぐたまの糠漬け
お茶 三年番茶

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次回は
第38回 身体に美味しい文化講座
相馬淳子のラオス便り!
天然染料・シルクを使った美しいラオスの手織物のお話し

日時 : 2021年7月23日(土) スタート 11:00~(受付10:30~)
会費 : 5,500円(映像とお話し&ラオス料理)

お問い合わせ : ㈱ラサ/畠中 lhasa@titan.ocn.ne.jp 090-4425-4263

 

第7回 身体に美味しい文化講座…村井弦斎『食道楽』…華やかなりし明治の素敵な料理の世界へのお誘いレポート

第7回 身体に美味しい文化講座…村井弦斎『食道楽』…華やかなりし明治の素敵な料理の世界へのお誘いレポート

1月23日、村井弦斎の会、楽しく美味しく行われました。

第一部は弦斎と縁の深い平塚在住の 元TBSプロデューサーで村井弦斎研究家でもある河内紀(かわち かなめ)による、村井弦斎のお話。
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弦斎はロシア語を学び、アメリカに留学、帰国後、著述家として活躍。報知新聞に『酒道楽』『釣道楽』『女道楽』『食道樂』を連載しました。
『食道樂』は,基本は恋愛小説ですが、600種以上の四季折々の料理や食材の話題が盛り込まれておりベストセラーとなったそうです。
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そして第2部は、『食道樂』に出てくるお料理をめぐたまのおかどさんが再現。
小説の中にも「本文中各項に出ずる献立は新しき料理法を示さんとする主意にて無理なる配合多し。読者はそれ心して見るべし。 」
と書かれているように、レシピはけっこう適当なので、おかどさんが、美味しく食べられるように調整して作ったお料理の数々です。

*豚のさしみ
「この刺身のようになっているのも大層美味いがこれはどうしたのだ」「豚のあばらの三枚肉を長くゆで、杉箸が楽に通る程になりし時、引上げて醤油の中に漬け置き半日の後薄く切る」いざ食べようという時小口から極く薄く切って溶き芥子を添えるのだ。」「しかし僕のうちのは少し贅沢にそれをまた1時間ほど天火に入れて蒸し焼きにしたのさ」
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*米のコロッケー(下 米料理百種より)
「上等にするとお米から牛乳で煮ますが手軽にすれば炊いてあるご飯を大匙五杯だけ牛乳1合の中へ入れて弱火で気長に煮ます。煮えた時塩胡椒を加えて玉子の黄身二つを混ぜてさましておきます。冷めた時分手でいい加減に丸めて、まずメリケン粉へ転がして残っている玉子の白身で包んでまたパン粉へ転がしてバターで揚げます。上等にするとこれに赤茄子ソースを掛けてだします」
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*南瓜の胡麻酢(下 南瓜料理より)
「南瓜を一寸角ほどに切りて柔らかくなるまで蒸し、別に黒胡麻を炒り、摺鉢にて摺砕き、味醂、酢、砂糖、少量の醤油にてドロドロにゆるめたる汁を前の南瓜へ掛けて食するなり」
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*サラダロアイヤル(下 琴一曲より)
「続いて出でたるサラダロアイヤルは林檎とセロリ―の細かく切りたるを上等のマイナイソースにて和えたるもの」「マイナイソースは上等にすると先ず三人前なら玉子一つを固く湯煮て黄身ばかりを裏濾しにして生玉子の黄身一つを混ぜて芥子を小匙に一杯、塩を小匙に半杯、砂糖を小匙に半杯、胡椒を少しとそれだけ加えてよく練り交ぜてサラダ油をホンの極く少しずつ注いで行って大匙三杯だけ加えて西洋酢を一杯入れてよく混ぜるのです。

*鶏の摺立汁(下 鳥の汁より)
「はるほど美味しい味だ。実なしのどろどろ汁、なんとも言われん風味がある」
「鶏の極く柔らかい処の肉を湯にいれてホンの少しの塩を加えて湯煮ます。湯煮る時間は大小次第ですが一羽丸のままならば2時間位、・・中略・・・湯煮た肉を湯から出して肉挽き機械があればそれで挽くと便利ですし、なければ包丁よく叩いて細かくして擂鉢へ入れてよく擂ります。よほどよく気長に擂らないといけません。・・中略・・別にご飯を少しばかり、擂鉢で擂ってやっぱり裏漉しにします。それから肉とご飯とをよく混ぜて先刻の湯煮汁へみりんお醤油で極く美味しく味を付けて、その汁で肉とご飯を溶いて行ってザッと沸立たせたのがこの摺立汁でございます。」
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*茶碗鮨(下 茶碗鮨より)まぐろ泣きごはん
「これは先ず西洋料理のライスカレーに似たようなものさ。胃を刺激して食慾を進めるから秋の料理といっていい。これには鮪の身の極く上等でないといかん。羊羹のような上肉ばかりに限るのだ。その鮪を買って来て小さく四角に即ちサイの目に切っておく。別に醤油一杯と味醂一杯と酢一杯とを三等分にしてよく煮詰めて火から卸した時鮪の身を入れると鮪の端が少し白くなる。それへ山葵をなるたけ沢山入れて攪き廻すのだ。よくこの料理を泣く御飯といって山葵が辛いので泣きながら食べるといった位なものだ」
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*糠のカステラ(献立 自然食指南 糠料理より)
「いかなる脚気でも毎日糠を食べていれば、かならず全快することはすでに世人も知っておりますが、
さてその糠の食べ方には大変困難するものです。……中略……このカステラは糠がまざっていますから、
からだにも薬ですし、味もかなりに結構です」
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*炭ビスケ(上)
「炭ビスケは必ず珈琲の副物になっています」「あんまり美味しいと申す方ではありませんが西洋人は薬だ薬だといって折々食べます」「珈琲を飲まない人でも夏は一月に二、三度位極少しの炭ビスケを食べると腹中の掃除が出来ます」
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ご参加頂いた方、お話し頂いた河内紀さん、ありがとうございました。

次回は
第8回 身体に美味しい文化講座

韓国薬膳の健康シリーズ『肝』
季節の変化に合わせて身体の中から健康になりましょう!

日時 : 2016年3月12日(土)
      スタート 11:00〜(受付 10:30)

会費 : 5,000円(お話、韓国舞踏、韓国薬膳料理つき)

場所 : 恵比寿/写真集食堂 めぐたま
    東京都渋谷区東3−2−7
      
お話 : 薬膳料理研究家 宮川昌子
料理 : おかどめぐみこ(レシピ/宮川昌子)
舞踊 : 黒川妙子

要予約 : お申込みは、畠中まで。
     lhasa@titan.ocn.ne.jp
     090-4425-4263
     お願いいたします。