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「飯沢耕太郎と写真集を読むvol.23 ウォーカー・エヴァンズ『アメリカン・フォトグラフス』を読む」講座レポ

 

6月19日の日曜日、連続講座の「飯沢耕太郎と写真集を読む」が開催されました。

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「写真集食堂 めぐたま」はその名の通り、写真集と美味しいごはんを味わうことのできる場所です。

5000冊もの写真集がずらりと並ぶ店内。

めぐたまに訪れたことのある人なら、あまりの写真集の多さに「どれを読めばいいのだろう?」と悩んだこともあるのではないでしょうか。

また「行ってみたいけど写真に詳しくないし……」と思っている方もこのブログを読んでくださっているかもしれませんね。

もちろん自由に手に取り、自由に読んでもらいたいのですが、写真集は写真家のことや時代背景を知ることで、ぐっと味わい深いものになることもあります。この連続講座は、そんな「写真集の味わい方」を本の持ち主であり、写真評論家の飯沢さんがじっくりとお話をするイベントです。
(これまでの講座の様子はこちら

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23回目となる今回は、ウォーカー・エヴァンズの写真集『アメリカン・フォトグラフス』を取りあげました。

『アメリカン・フォトグラフス』は“1930年代のアメリカ”を写した一冊であり、世界ではじめて、言葉に頼ることなく“写真だけ”で物語を紡いだ一冊と言われています。

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1938年、まだニューヨーク近代美術館に写真部門がなかった頃、写真を新しい芸術のジャンルとして育てようと、キュレーターたちが初の個展に選んだ写真家がウォーカー・エヴァンズでした。

写真集『アメリカン・フォトグラフス』は同名の展覧会のカタログとして出されたものですが、展示内容とは写真の点数もセレクトも異なり、写真をみせる順番も全く違ったものに仕上がっています。

複数の作品が1つの空間に並ぶ展覧会と、ページを1枚1枚めくりながら作品と向き合う写真集。

展覧会と写真集では写真との出会い方がそれぞれ異なるため、本作はその違いを意識的に取り扱った写真集としても、のちの写真の歴史に大きな影響を与えました。

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ウォーカー・エヴァンズが捉えた1930年代のアメリカは、1929年のウォール街での株価大暴落に始まった不況が続く、とても暗い時代でした。

そんな時代を生きる人々や建物、そして都市をウォーカー・エヴァンズは大判カメラから小型カメラまで、さまざまなカメラを使い分け、まるで眼を取り替えるようにして撮り方を変えていくことで、写真家として、深いメッセージを織りこみながらも、1つの時代を客観的に写しています。写真からは貧しくともひたむきに生きる人々への敬意と、軍人や資本家といった支配層への嫌悪感が感じられます。

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飯沢さんは、『アメリカン・フォトグラフス』は写真を通じて「何か」を語り、「写真とは何か」を語ったはじめての写真集であり、はじめてにしてピークとも言える一冊と言っていました。

どれを手に取るか迷った時は、『アメリカン・フォトグラフス』を読んでみてはいかがでしょうか。

 

次回は19世紀のイギリスを代表する女性写真家、ジュリア・マーガレット・キャメロンがテーマです。めぐたまで写真集とランチを味わった後に、三菱一号館美術館で展覧会を鑑賞するというスペシャル企画になっています。

1人の写真家の写真集と展覧会が同時に楽しむことのできるこの機会、ぜひご参加ください。

 

【次回講座のごあんない】

飯沢耕太郎と写真集を読む 特別編
「トークと鑑賞で一日キャメロンDAY」

7月17日(日)
10時〜14時30分頃

参加費:4000円
レクチャーとお昼ごはんとキャメロン展(三菱一号館美術館)見学(チケットつき)

10時から11時30分……トーク(めぐたま)
11時30分から12時30分……ご飯(めぐたま)
12時30分から13時30分……移動(恵比寿〜東京)
13時30分から……三菱一号館美術館「ジュリア・マーガレット・キャメロン展」見学(東京・丸の内)

* お申し込み megutamatokyo@gmail.com

*見学後、ご希望方は三菱一号館1階のカフェ1894で飯沢さんとお茶しましょう(別料金です)。

*恵比寿〜東京駅の交通費は各自ご負担ください。

*たまにメールが届かないことがあります。3日以内に返信がない場合、お手数ですが再度メールくださいませ。

*前日、当日のキャンセルは準備の都合がありますので、キャンセル料をいただきます。

 

 

写真/文 館野帆乃花