昨日の記事でお伝えした、めぐたま店内の奥中央に置かれたケヤキの切り株。
この立派な切り株、ただのインテリアではありません。
実はこれ、めぐたまが建っている敷地に約20年前まで生きていた、樹齢103年のケヤキのものなのです。
1989年、元の土地の持ち主が亡くなったことで、ケヤキがあった土地は他の持ち主の手に渡り、マンションが建つことになりました。
大木の移植は難しいため、樹はそのままではただ伐採され、ゴミとして捨てられてしまいます。
ならばせめてその伐採を自分たちで行い、ケヤキの幹や枝や皮や葉や根等、あらゆる部分を使って参加者が自由に作った作品を展示しようというプロジェクトが始まりました。
その名も、「一本の樹プロジェクト」!
このプロジェクトの発起人の一人として動いたのが、めぐたまでイベントその他様々な仕事をこなしている、コミュニケーション・アーティストのときたまこと、土岐小百合です。
最初は土岐小百合と、造形作家・もんきり研究家の下中菜穂さん、二人だけで始めた企画でしたが、最終的にはなんらかの形で関わった人々が300人を超えるという、大きなプロジェクトになりました。
時間や予算、場所やスタッフの確保、広報、様々な問題を乗り越え、伐採から3年後の1992年10月、青山の「こどもの城」ギャラリーで、展覧会「一本の樹から地球へ」が開催されました。
集まった作品は、様々。幹や枝を使った机や椅子、おもちゃや楽器、オブジェ、葉を染料に使った衣服や、葉そのものを使ったワッペン、火を入れてケヤキの炭を作ったり、灰を釉薬に使って陶器を作った方もいました。
また、ケヤキを絵に描いたり、映像作品としてまとめた方もいました。
それぞれの思い描くケヤキの作品が500以上集まり、こうして3年間に渡るプロジェクトは、盛況のうちに幕を閉じたのです。
このプロジェクトの詳しい内容は、めぐたまに入ってすぐ右手の棚に置かれた本でお読みいただけます。
ちなみにこの一角は、土岐小百合=コミュニケーション・アーティスト、ときたまのコーナー!
一本の樹に関する本は店内鑑賞用の非売品ですが、ときたまの作品(書籍、ポストカードや日めくりカレンダー)は販売もしておりますすので、どうぞご覧ください!
実はめぐたまには、中央の切り株以外にも、もう一つケヤキが使われているものがあります。
それは、建物の名前。
この二階建ての建物には、かつてこの地にあったケヤキに敬意を表して、「欅ハウス」という名前がつけられています。
ケヤキの名を受け継いだお店の中で、木から作られた紙の写真集をめくりつつ、おいしいご飯を楽しんでいただければ幸いです。
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