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ふげん社写真賞 第1回

飯沢耕太郎さんが審査員をする写真の賞が開設されました。
ふげん社写真賞です。
ぜひ、応募してください。

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ふげん社写真賞 第1回 作品を募集します
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コミュニケーションギャラリーふげん社は、
渡邊美術印刷株式会社創立70周年記念事業として
「ふげん社写真賞」を創設します。
写真芸術を深め、拡張し、未来へ問うこと。
その確かな歩みを記すため、
作家を支援し写真集出版を行います。
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「ふげん社写真賞」グランプリ1名

写真集出版(500部)とコミュニケーションギャラリーふげん社で出版記念展を開催する権利を授与。
写真集出版部数から50部を贈呈。
エントリー期間
2021年2月1日(月)〜6月30日(水)17時必着
◉受付時間:開館日の12時から18時
募集期間内にコミュニケーションギャラリーふげん社(東京都目黒区下目黒5-3-12)に必着で発送してください。
選考について
選考方法
選考員の協議により選出します。
◉一次選考:ノミネート作家、数名を選出。
◉二次選考:作家によるプレゼンテーションと質疑応答を経て受賞者を選出。

選考員
飯沢耕太郎(写真評論家)
町口 覚(造本家)
渡邊 薫(渡邊美術印刷株式会社代表取締役)

結果発表
2021年7月上旬に本人に通知、およびウェブサイトとSNS上で発表します。
選考経過等の問い合わせには一切答えることができません。
​募集概要
応募条件
国籍、年齢、プロ、アマチュアは問いません。日本在住で二次選考会に参加できる方。
一人(組)1作品に限ります。参加費は3300円。

応募規定
テーマ、手法は自由。既発表作品も応募可能。
ほかの公募展やコンテストでの受賞作、応募中の作品は受け付けることができません。
◉作品サイズ:六切り以上プリントで、最大の大きさは問いません。
◉作品点数:100点以下
◉形式:プリントは保管上問題のない箱に収納してください。
マッティングしたプリント、額装、パネル貼りを施したもの、ファイルでの応募はできません。

応募方法
①②③をまとめて下記応募先へご発送ください。

①作品
②制作意図を記した用紙
③身分証明書のコピー(住所、氏名が確認できるもの)

作品1点につき、提出者が制作した「作品票」を一枚ずつ裏面に添付。作品に順序のある場合は番号を必ず記入。
写真集編集プランのための、ダミーブック、ポートフォリオの提出は可能です。
ダミーブック、ポートフォリオのみの応募は不可。

応募先
〒153-0064
東京都目黒区下目黒5-3-12
コミュニケーションギャラリーふげん社内 ふげん社写真賞実行委員会
TEL 03-6264-3665

参加費のご入金先
三井住友銀行 浦和支店
当座預金 
298677
渡辺美術印刷株式会社

◉お支払い期限:6月30日(木)
振込手数料はご負担おねがいします。
作品の送付、ご入金をもって応募の受付が完了します。

応募作品のご返却について
結果発表後、2週間程でご返却します。 宅配便、着払いでのご返送となります。
*発表日、営業日の関係で返却までの期間が変更になる場合があります
*返却を希望しない場合は、応募用紙にその旨を明記してください。
グランプリ受賞作について
写真集出版について
受賞作は写真集にしてふげん社から出版します(限定500部)。
著作権は作者に帰属、版権・発行は主催者に帰属します。編集は受賞者と主催者の合議とします。
初版部数のうち50部を作者に贈呈。印税はありません。

出版記念展覧会について
コミュニケーションギャラリーふげん社にて展覧会を開催。
展覧会の作品制作にあたって「デジタルラボPapyrus」を特別料金で使用することができます。
ギャラリー所有のフレームを貸与します。
展示作品の一部は、ふげん社が作者と協議のうえコレクションとして購入し収蔵します。
ふげん社写真賞事務局
​東京都目黒区下目黒5-3-12 コミュニケーションギャラリーふげん社内
Email: fugensha.award@gmail.com
Tel: 03-6264-3665
Shimomeguro 5-3-12 ,Megoro-ku, Tokyo 153-0064, Japan

飯沢耕太郎と写真集を読むvol.24 「トークと鑑賞で一日キャメロンDAY」講座レポ

飯沢耕太郎と写真集を読むvol.24 「トークと鑑賞で一日キャメロンDAY」講座レポ

 写真評論家の飯沢耕太郎さんのレクチャーにより写真の味わい方を学ぶことのできる大人気連続講座『写真集を読む』第24回が、7月17日(日)に開催されました。
 
今回の「写真集を読む」は、特別編!三菱一号館美術館の初の写真展であり、生誕200周年の国際巡回展で日本初の回顧展である『ジュリア・マーガレット・キャメロン展』の開催に併せ、「トークと鑑賞で一日キャメロンDAY」でした。飯沢さんの解説を聞き、おかどさんの美味しいごはんでお腹を満たしたあとは、実際に美術館に足を運んで作品を鑑賞する(ここでも飯沢さんの生音声ガイド付き!)という豪華なイベント。
 
 毎回講座のレポートを担当している館野さんがお休みでしたので、築地「ふげん社」の関根がピンチヒッターでレポートさせていただきます。しばらくのあいだお付き合いくださいませ。

ふげん社
http://fugensha.jp

1 のコピー

 みなさんは、「ジュリア・マーガレット・キャメロン」という写真家をご存知でしょうか?写真にお詳しい方でも、ピンとくる方は少ない気がします。わずか十余年あまりの短い活動にもかかわらず、写真表現に新たな地平を開いたという功績に比して、知名度が低く写真史に埋もれがちな存在です。

 キャメロン女史は、1815年にインドはカルカッタで、名門キャメロン家の三女として生まれました。48歳のとき、娘夫婦よりカメラと暗室道具一式を贈られ、彼女が長年抱いていた「美への憧れ」が、カメラを手にしたことで一気に開花します。キャメロンは身の回りの人物をモデルにし、幻想的な主題で肖像作品を生み出すことに情熱を傾けていきます。

2 のコピー

 後世になって高い評価を受ける所以となった、彼女の作品の特徴は大きく三つあります。
 まず一つが、写真に絵画的効果を適用した点です。キャメロンの作品は、当時の画壇であるラファエル前派の影響が色濃く見られます。これは、のちの19c末〜20c前半におこった、写真を芸術そしてみなし絵画的な表現を目指す「ピクトリアリズム」という写真表現運動の先駆けであったと言えます。
 
 モデルに、聖書の登場人物や「アーサー王」などの歴史的人物像を当てはめ、神話的でロマンチックな世界観を創出するキャメロン作品は、現代のコスプレと通じるものがある…と飯沢さん。若い女子はキャメロンに共感できるのでは?

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 二つめは、失敗をインスピレーションの種として新しい写真表現の可能性を常に探っていったことです。
 彼女の写真を見ると、ピンボケの写真や、指紋がついていたり、フィルムが破れていたり、一見「ミス」とみなされてしまう写真が多いように感じられます。しかし、彼女はミスをミスで終わらせず、それを多様な表現のひとつとして昇華しようとするたくましさがありました。
 
 キャメロンが使っていたカメラは、当時最先端の写真技術である湿板写真。極めてシャープな描写が可能になっていただけに、職業写真家たちの表現から大きく逸脱したキャメロン女史の作品は、非難が殺到したそうです。
 
 写真を詩集の挿絵として編集したり、写真の販売をしたり、アーティストインレジデンスの試みをしたりするなど、常に新しいことを追い求めていたキャメロン。大きなカメラを使いこなし、現代では想像もつかないほど途方もない手間をかけて写真を現像、プリントして、世間の批判を物ともせず独自の写真表現を切り開いていった様子を見るに、闊達でパワフルな女性像が眼に浮かびます。

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 最後は、被写体を見出し、その魅力を引き出すことに長けていた点です。
 彼女は、ヴィクトリア朝時代の著名な文人や芸術家、科学者をモデルとして登用するほか、親戚や小間使いなど身の回りの女性たちをモデルとして用います。頻繁にメインの役柄で作品に登場する、お気に入りのモデルが何人かおり、三菱一号館美術館の展示では、そのモデルたちにフォーカスをあてた解説がなされています。作品のなかの蠱惑的な女性たちは、キャメロンの鑑識眼が確かなものであったと感じさせます。

 彼女の写真には、「被写体をありのままに捉える」という彼女の信条を表す「フロム・ライフ」という文字がサインと共に添えられていることが多いです。写真に絵画的演出をほどこしていたキャメロン女史ですが、彼女が作り上げているものは、あくまでもありのままを写す「写真」であり、被写体のポテンシャルを生かして、イマジネーションの世界と現実を見事に融合させていたといえます。

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 飯沢さんのお話のあとは、丸の内にある三菱一号館美術館で開催中の「Life―写真に生命を吹き込んだ女性 ジュリア・マーガレット・キャメロン展」へ。飯沢さんの講義を聞いた後は、作品がより生き生きとして見える気がします。

会期は9月19日までです。
詳しくは下記に。
http://mimt.jp/cameron/
  

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記事を読んで興味を持たれた方は、『ジュリア・マーガレット・キャメロン展』に、ぜひ足を運んでみてください。貴重なヴィンテージプリントが一堂に会する大規模回顧展は、もしかしたら最初で最後かもしれません。モデルたちの表情、仕草、そしてプリントに残るキズや指紋などから200年前に想いを馳せて、写真に情熱を傾けエネルギッシュに生きた女性の息遣いを感じてみませんか。

(文/写真  関根 史)
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梅佳代さんと飯沢耕太郎さんのキャメロンを巡るトークの企画もあります。

日時  :8月2日 (火)時間19:00~20:30(予定)+質疑応答(開場18:30)
会場  :青山ブックセンター本店 大教室
参加費:1,944円(税込)

詳しくは下記に。
http://mimt.jp/blog/museum/?p=4566

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次回のご案内(8月はお休みです)

「飯沢耕太郎と写真集を読む vol.25」星野道夫と自然写真家たち

星野道夫さんが不慮の事故で亡くなってから、早いもので20年経ちました。8月〜10月には「没後20年特別展 星野道夫の旅」が松屋銀座を皮切りに全国各地で開催されます。1980〜90年代に発表された星野さんの写真は、「動物写真」という枠組みを超えて、国際的な広がりを持つ画期的な仕事でした。今回は星野さんの写真集を中心にして、同時代の自然写真家たちの多面的な活動をふり返ります。ぜひ足をお運びください。(飯沢耕太郎)

9月22日(祭・木)

10:00~11:30

2500円(三年番茶付き) 学生割引 1500円(三年番茶付き)

定員 15名

場所 めぐたま

* お申し込み megutamatokyo@gmail.com

*たまにメールが届かないことがあります。3日以内に返信がない場合、お手数ですが再度メールくださいませ。

*前日、当日のキャンセルは準備の都合がありますので、キャンセル料をいただきます。