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写真集千夜一夜第三十一夜 荒木経惟『東京物語』

写真集千夜一夜第三十一夜
荒木経惟『東京物語』平凡社、1989年

「飯沢耕太郎の写真集千夜一夜」は毎週日曜日の21時から配信しています。
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写真集千夜一夜第三十一夜
荒木経惟『東京物語』平凡社、1989年

いよいよ、アラーキー登場! 東京で生まれ育った荒木経惟が、小津安二郎の名作映画のタイトルを借りて、この街と「昭和」という時代への挽歌を綴る。日々の出来事を「物語」として再構築していく能力が十二分に発揮された傑作。

2020年8月30日(日)21:00

配信アドレス

https://youtu.be/CJx6yyRADq4

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「飯沢耕太郎と写真集を読むvol.13 荒木経惟を読む!Part4アラーキーの現在形」講座レポ

 

5月17日、夏のような日差しの日曜日に
月に一度の連続講座「飯沢耕太郎と写真集を読む」が開かれました。

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めぐたまには5000冊以上の写真集がずらりと並んでいます。
すべて自由に読んでいただけますが、何しろ5000冊もあるので、
どれを手に取ればいいのかと迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そもそも、写真を「読む」ってどうゆうこと?
と思われる方も多いはずです。

そこで写真評論家であり、本の持ち主である飯沢さんが
毎回テーマを決めて写真集を紹介しているのがこのイベント。

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13回目を迎えたこの日のテーマは「荒木経惟を読む!Part4アラーキーの現在形」
4回にわたってアラーキーこと荒木経惟を追ってきたこのシリーズも
今回で最終回となりました。(いままでの様子はこちら。)
最終回では、2000年代から現在までの写真集を見ていきます。
「写真の並びは小説だ」という荒木の言葉は、
写真集を「読む」手がかりになるはず。
荒木経惟は、現実に起こる出来事をどう写真におさめ、
本に編むのかを常に考えている写真家だと言えます。

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2000年代に入り、荒木の評価は世界的なものになっていきました。
評価が高まると同時に、荒木自身の表現の幅も広がりをみせ、
『緊縛写巻』(2006年)や『遺作 空2』(2009年)では、
写真に筆で色をのせたり、字を書いたり、
写真の上に別の写真や新聞記事をコラージュしたりと
「写真家」という枠に収まらない作品が現在進行形で次々と生まれています。

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『愛のバルコニー』(2012年)は
1982年から立ち退きを余儀なくされる2011年まで、自宅のバルコニーを撮り続けた1冊です。
妻との日常、妻と愛猫のチロを亡くした後の寂しげなバルコニー。
移り行くバルコニーの姿は荒木の心そのものでした。
同じ場所を撮り続ける定点観測的な撮り方は最新作の『道』(2014年)につながっていきます。
荒木は3.11以来自宅から見える道と東の空を撮り続け、その写真は『往生写集』(2014年)でも見ることができます。

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すでに400冊以上の写真集を発表している荒木ですが、
その勢いは衰えることを知らないようです。
シリーズ4回すべてご参加いただいた方や海外の方もいらしていて、
荒木の人気を改めて思い知ることとなった講座でした。

6月からは新しいテーマで写真集を読んでいきます。
次回もたくさんのご参加をお待ちしております。

【次回講座のごあんない】
飯沢耕太郎と写真集を読むvol.14
「森山大道の世界『にっぽん劇場写真帖』から『光と影』まで」
6月20日(土)
10:00~11:30
料金 2500円(三年番茶付き)
学生割引 1500円(三年番茶付き)
定員 15名
場所 めぐたま
* お申し込み megutamatokyo@gmail.com
*たまにメールが届かないことがあります。3日以内に返信がない場合、お手数ですが再度メールくださいませ。
*前日、当日のキャンセルは準備の都合がありますので、キャンセル料をいただきます。キャンセルまちのお客様もいるので、キャンセルの場合は必ずご連絡ください。

ランチ
飯沢さんと一緒にランチを食べる方は事前にお申し込みいただけると嬉しいです。
休日ランチ1500円。

写真/文 館野 帆乃花

「飯沢耕太郎と写真集を読むVol.13 荒木経惟を読む!Part4 アラーキーの現在形」

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「飯沢耕太郎と写真集を読むVol.13 荒木経惟を読む!Part4 アラーキーの現在形」

写真集食堂の蔵書を使って、荒木経惟の写真集を読み解いていく連続講座の第4回目は、彼の2000年代の仕事を取り上げます。1990年代の”大爆発”を経て、今や荒木の作品はより自由に、融通無碍なものとなり、時には写真家としての仕事の範囲を逸脱しかねないほどの広がりを見せています。特に2010年以降は、体調不良、愛猫チロの死、東日本大震災などのネガティブな出来事を、全身で受け止め、投げ返すことで、新たなステージに出て行こうとしているように見えます。近作を通じて、アラーキーの現在、そして未来が浮かび上がってくるはずです。

5月17日(日)

10:00~11:30

料金 2500円(三年番茶付き)

学生割引 1500円(三年番茶付き)

定員 15名

場所 めぐたま

* お申し込み megutamatokyo@gmail.com

*たまにメールが届かないことがあります。3日以内に返信がない場合、お手数ですが再度メールくださいませ。

*前日、当日のキャンセルは準備の都合がありますので、キャンセル料をいただきます。

*飯沢さんと一緒にランチを食べる方は事前にお申し込みいただけると嬉しいです。(休日ランチ1500円)

「飯沢耕太郎と写真集を読むvol.12 荒木経惟を読む!Part3 2度目の大爆発90年代のARAKI」講座レポ

「写真の楽しさをおいしく味わえる」
そんな場所になるために、めぐたまでは月に一度、
写真集の持ち主である飯沢さんが「写真集を読む」という講座を開いています。

本を自由に読めるだけでなく、写真の味わい方を知ってほしい。
と、続けて来たこのイベントも4月19日(日)で12回目を迎えました。
(いままでの様子はこちら。)

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今回は、アラーキーこと荒木経惟特集の第3弾。
70年代、80年代と続いて、今回は90年代の作品を見ていきます。

バブル崩壊、昭和から平成へ。
90年代は1つの時代の終わりでありました。
そして、荒木にとっては最愛の妻・陽子の死という、大きな別れの時でもあったのです。

荒木は、この2つの「終わり」を力強く受け止め、写真を撮ることで次の時代へと投げ返していきます。
90年代に発表された写真集には大傑作と呼べるものが多く、
ネガティブな出来事でさえ、写真家としての原動力にしているような凄みを感じさせます。

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なかでも、妻・陽子の死を写真と言葉で綴った『センチメンタルな旅・冬の旅』は
「私写真家宣言」を打ち立てた荒木経惟の最高傑作と言えるでしょう。

淡々と、それでいて深い悲しみが滲む写真と、写真に添えられた言葉たち。

荒木の写真集は1枚1枚をパッパッと見ていくようなスピード感があるものが多いなか、
この『センチメンタルな旅・冬の旅』は鑑賞者が1ページ1ページを噛み締めていくように組まれています。

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それはまるで、荒木自身が、陽子との別れが近づく日々を噛み締めているよう。
陽子の死という個人的な出来事が、写真集をみる者に「愛する人の死」という普遍性をもって染み渡っていきます。
この本は「アラーキー=際どいヌード写真を撮る人」というイメージが大きく変わった写真集でもありました。

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彼の写真には常に性(エロ)と死(タナトス)が色濃く混在しており、
90年代に強まった「死の気配」に比例するように「性の気配」も強くなっていきます。
その代表作といえる写真集が『食事』と『エロトス』。
この2つは、被写体が持つ、性と死の気配をストレートに捉えた写真集といえるでしょう。

ここではじっくり紹介できませんでしたが、
講座では他にも『平成元年』『冬へ』『センチメンタルな旅・春の旅』『東京ラッキーホール』『遠野小説』などの写真集もみていきました。

気になる方はぜひ、めぐたまに遊びに来てくださいね。

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荒木経惟特集は次回のPart4で最後になります。
次回もたくさんの参加をお待ちしています!

【次回講座のごあんない】
飯沢耕太郎と写真集を読むvol.13
「荒木経惟を読む!Part4」
5月17日(日)
10:00~11:30
料金 2500円(三年番茶付き)
学生割引 1500円(三年番茶付き)
定員 15名
場所 めぐたま
* お申し込み megutamatokyo@gmail.com
*たまにメールが届かないことがあります。3日以内に返信がない場合、お手数ですが再度メールくださいませ。
*前日、当日のキャンセルは準備の都合がありますので、キャンセル料をいただきます。キャンセルまちのお客様もいるので、キャンセルの場合は必ずご連絡ください。

ランチ
飯沢さんと一緒にランチを食べる方は事前にお申し込みいただけると嬉しいです。
休日ランチ1500円。

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写真/文 館野帆乃花

「飯沢耕太郎と写真集を読むvol.11 荒木経惟を読む!Part2疾風怒濤の80年代」講座レポ

めぐたまでは月に一度、本の持ち主である飯沢さんの「写真集を読む」という講座を行っています。

DSC_0807 第11回目となる3月22日のテーマは「荒木経惟を読む!Part2疾風怒濤の80年代」でした。

前回からはじまった荒木経惟の連続講座。Part1では初期写真集をみていきました(前回の様子はこちら)。続くPart2は「アラーキーの確立期」ともいえる70年代から80年代の写真集です。

1972年に電通を退社し、フリーになった荒木は疾風怒濤の勢いで70・80年代を駆け抜けていきました。

『東京は、秋』『荒木経惟の偽ルポルタージュ』『荒木経惟の偽日記』『少女世界』『東京物語』といった写真集をみながら、【荒木世界】へと誘われていきます。

飯沢さんによると【荒木世界】とは、歌舞伎の見立てのように実話とフィクションをないまぜにし、虚と実の境を曖昧にすることで作り出される世界だと言います。

DSC_0829それは例えば、『荒木経惟の偽日記』のように日付順に並べられている写真集。実はこの写真集はカメラの日付機能を操作して、全く別の日に撮られた写真を同じ日の出来事のように並べているのだとか。

こうした趣向や細工をさらりとやってしまう粋なところを、飯沢さんは「アラーキーは最後の江戸人だ」と言っていました。

また、写真に添えられた言葉の巧みさに注目してみるのも【荒木世界】を味わうコツです。荒木がつけた偽名によって、彼に撮られた女性たちは皆、彼の舞台に立つ女優へと変身してしまうのです。「アラーキー」という存在もまた、【荒木世界】のキャラクターの一人と言えるでしょう。

飯沢さんの語りによって、お客さんはますます【荒木世界】に引き込まれていくようでした。

DSC_0799次回、Part3は『センチメンタルな旅・冬の旅』を中心に、90年代の写真集を読んでいきます。

1991年に出された『センチメンタルな旅・冬の旅』は荒木の妻、陽子の死を写真と言葉で綴っています。これは1989年の『東京物語』の陽子の写真ですが、どこか予感めいたメランコリーな雰囲気が漂います。

DSC_0827連続講座とはいっても毎回参加者も変わりますし、初めての方も大歓迎です!

【次回講座のごあんない】

飯沢耕太郎と写真集を読むvol.12

「荒木経惟を読む!Part3 2度目の大爆発 90年代のARAKI」

4月19日(日)

10:00~11:30

料金 2500円(三年番茶付き)

学生割引 1500円(三年番茶付き)

定員 15名

場所 めぐたま

* お申し込み megutamatokyo@gmail.com

*たまにメールが届かないことがあります。3日以内に返信がない場合、お手数ですが再度メールくださいませ。

*前日、当日のキャンセルは準備の都合がありますので、キャンセル料をいただきます。

*飯沢さんと一緒にランチを食べる方は事前にお申し込みいただけると嬉しいです。(休日ランチ1500円)

 

写真/文 館野 帆乃花